この街は喧騒に溢れている。
いつも私はその中で流されて、揺らされて、そして迷わされていた。
今も、そう。
これから住む場所さえも、私は選ばされている。
十五階建てのマンションを見上げ、小綺麗な窓ガラスが綺麗に規則的に並ぶ外観に目を細めた。
『なんかこの部屋だけ、いっつも人がすぐ出ていくんだよね。事故物件とかじゃないんだけどさ』
上司である課長の声が頭をよぎる。
ぽりぽりと頬をかいたあと、だいぶ髪の毛が寂しくなった頭を撫でながら笑う、うさんくさい見慣れた顔。
課長はいっつも面倒ごとを私に押し付けてくる。
『穂村さん、たしか引っ越したいって言ってたよね?ちょうどいいから、その部屋に住んでみてくれない?調査も兼ねてさ』
えっ、普通に嫌です。と、言いたかったのに、言えなかった私にも責任はある。
一瞬言い淀んでしまった私に、課長はたたみかけるように
『目的は“調査”だから、家賃は会社負担だよ。全額。引っ越し費用も、ぜーんぶ!どう?』
…これ、なんの交渉?
って思っているうちに、返事もしてないのに引っ越しが決まってしまったのだった。
そりゃあ、家賃も引っ越し費用も全部負担してくれるのはありがたい。
でも、会社からすればいわゆる“いわくつき”の部屋を私に丸投げしてきたようなものだ。
『よし!じゃあよろしくね、穂村さん!あとは総務に言っとくから』
そんな課長とのやり取りがあってから、二週間。
あれよあれよと引っ越し作業に追われながら日々を過ごし、ついに今日を迎えてしまったのだった。
いつも私はその中で流されて、揺らされて、そして迷わされていた。
今も、そう。
これから住む場所さえも、私は選ばされている。
十五階建てのマンションを見上げ、小綺麗な窓ガラスが綺麗に規則的に並ぶ外観に目を細めた。
『なんかこの部屋だけ、いっつも人がすぐ出ていくんだよね。事故物件とかじゃないんだけどさ』
上司である課長の声が頭をよぎる。
ぽりぽりと頬をかいたあと、だいぶ髪の毛が寂しくなった頭を撫でながら笑う、うさんくさい見慣れた顔。
課長はいっつも面倒ごとを私に押し付けてくる。
『穂村さん、たしか引っ越したいって言ってたよね?ちょうどいいから、その部屋に住んでみてくれない?調査も兼ねてさ』
えっ、普通に嫌です。と、言いたかったのに、言えなかった私にも責任はある。
一瞬言い淀んでしまった私に、課長はたたみかけるように
『目的は“調査”だから、家賃は会社負担だよ。全額。引っ越し費用も、ぜーんぶ!どう?』
…これ、なんの交渉?
って思っているうちに、返事もしてないのに引っ越しが決まってしまったのだった。
そりゃあ、家賃も引っ越し費用も全部負担してくれるのはありがたい。
でも、会社からすればいわゆる“いわくつき”の部屋を私に丸投げしてきたようなものだ。
『よし!じゃあよろしくね、穂村さん!あとは総務に言っとくから』
そんな課長とのやり取りがあってから、二週間。
あれよあれよと引っ越し作業に追われながら日々を過ごし、ついに今日を迎えてしまったのだった。



