再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

「それにしても」

「え?」

「三年前に比べて、随分と雰囲気が変わったな。……大人っぽくなったって言えばいいのか。すっかり大人になったって言えばいいのか」

「あぁ……」


 深い青色の瞳に見つめられ、どう答えれば良いものかと思って下を向いた。すると聞かれたくないことだと思ったのかロード様は慌てて話題を変えようとする。


「悪い。女性に直接そんな話をするなんて失礼だったな。忘れてくれ」

「いえ。……実は、向こうとここの世界とでは時間軸が違うのか、戻る時に何かがおかしくなったのか、私の世界ではあれから九年が経っているんです」

「……え?」

「だからあの頃はまだ十四でしたけど、今はもう二十四歳になりました。成人したんです」


 薄く微笑むと、驚いたように目を見開くロード様。


「つ、まり。俺よりも年上に……?」

「あ、そうなんですか?」

「あぁ。俺が今二十一だから……」


 ということは、私より三つ下ということ。あの頃はロード様は十八歳だったから、この世界ではやはりあれから三年しか経っていないんだ。

 あの頃はロード様がすごく大人の男性に見えていたのに。今は私の方が歳上なんて。まぁ、私には七年のタイムラグがあるから精神年齢はまだ十八くらいだけども。なんだか変な感じだ。


「も、申し訳ない。年上の女性に対して失礼な態度をとりました。お許しください」

「なっ、やめてください。今まで通りに接してください。でないと私が困ります」

「ですが……」


 急に頭を下げてくるから驚く。それも私に対して敬語だなんて。むず痒くなるからやめてほしい。


「私がいいと言っているんですから。……ダメですか?」

「っ! ……いや、ダメでは、ない」


 少し顔が赤いように見えるけれど、私は何か変なことを言ってしまったのだろうか。

 首を傾げてロード様の顔を覗き込もうとすると、焦ったように逸らされてしまった。


「そういえば、ロード様は私の母国語を覚えていてくださったんですね」

「あ、あぁ。なんとなく忘れられなくて。ずっと頭の片隅に覚えておいたんだ。まさかこんな風に役に立つとは思っていなかったが」

「ここに来て、言葉も分からず不安に押しつぶされそうだったので、ロード様が日本語をお話ししてくださって酷く安心してしまったんです。急に抱きついてしまって、すみませんでした」

「いや、気にしなくていい。セーラの気持ちは理解できるし、俺も久しぶりにセーラを見て思わず口にしてしまっただけなんだ。発音が合っていたようで良かったよ」


 あの頃は本当に雑談みたいなものだったけど、昔の自分に感謝しないと。ロード様にもお礼が言えて良かった。