再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

 それから、ロード様からこの国のことを改めて聞いた。


「今ドラムトン王国は再び危機に瀕しているんだ。原因不明の瘴気があちこちに現れて、土地を汚染している。そのせいで魔獣が現れたり疫病が流行ったり、作物が枯れてしまって民が飢えていったりしているんだ」

「そんな……魔獣ですか? 以前も瘴気が原因で召喚されましたけど、そこまで酷いものではなかったはずです」

「そうなんだ。前回セーラが浄化してくれた時は疫病と土地の汚染だけだった。ただ、前回はそのスピードが早かったが、今回は逆だ」

「逆、とは?」

「広がるスピードは遅い。だが、その代わりに瘴気が桁違いに濃いんだ。そのために魔獣が現れたり作物が枯れてしまう影響が出たと推測されている」

「そんな……」


 前回の召喚の時は、私の主な仕事は瘴気が出ている各地を回り、その土地を浄化するというものだった。

 今回また召喚された理由もそれかと思っていたけれど、前回よりも酷いことになっていただなんて。


「王様は、今回もセーラに国を救ってほしいと思って召喚魔法を使ったらしいんだ。前回の召喚でセーラがどれほど泣いたかをお忘れになってしまったらしい。俺が魔獣を倒しに行っている間のことだったから、止めることができなかった。本当にごめん」

「……いえ。ロード様が悪いわけではありませんから」


 グッと拳を握るロード様に、微笑みを返す。

 きっと王様も国のために必死なのだろう。しかしその気持ちは理解はするけれど、前回受けた仕打ちを思うと到底納得できるものではなかった。


「問題はセーラのこれからの処遇についてだ」

「処遇?」

「さっきも言ったが、セーラには今魔力が無い。つまり、聖女としての力がまるでなくなってしまっているんだ」


 そうか。私の聖女の力は、膨大な魔力によるものだった。それが無い今、私はこの国には必要の無い存在なのではないだろうか。


「王様にもセーラの魔力がなくなっている話は伝わっている。セーラに国を救ってほしいと思って召喚したものの、その力が無いとなったらセーラをどうするべきかを考えるはずだ」

「はい」

「普通の民ならまだしも、セーラは元がつくとは言え聖女。それも、この国を救ってくれた伝説のような存在になっている」


 伝説だなんて。そんなことになっているなんて全然知らなかった。


「だから今のセーラに聖女としての力がなくても、邪険に扱うことなどもってのほか。国全体で守るべき存在であることに変わりはない」

「そうなんですか……」

「どちらにしても一年間は元の世界に帰ることはできないだろうから、この世界で過ごしてもらうことになる。しばらく俺がセーラの世話役を頼まれているから、安心してゆっくりするといいよ」

「……ありがとうございます。ロード様」


 ロード様がそう言ってくれるだけで安心できる。だけど、私の世話役だなんて迷惑に決まってる。ロード様にだって騎士としての仕事があるだろうに。

 だけど、ロード様は私の考えなどお見通しのようで。


「心配するな。ずっとまともな休暇をとっていなかったから、久しぶりに俺もゆっくりできそうで嬉しいんだ。たくさん話を聞かせてくれ」

「……はい」


 私に気を遣わせないように微笑んでくれた。