何とか誰にも見つからず、
城の裏門に辿り着いた私。
「ふぅ……やっとここまで来れた。
さてと……」
裏門の脇にある石壁にぴたりと貼り付き、
周囲をキョロキョロと見回した。
するとタイミングよく、
洗濯物を回収した荷馬車が
門を通過しようとしている。
「チャンスだわ!」
御者の隙を見て、ふかふかのシーツが
積まれた荷台へひらりと飛び乗る。
さらにシーツの山の奥底へと潜り込んだ。
「フフフ……どうやらうまくいったみたいね」
我ながら完璧な脱出に
シーツの下でほくそ笑む。
馬車はガラガラと音を立てて進んで行く。
心地よい揺れに身を任せていると、
やがて城門を通過したのだろうか。
「お疲れ様~開門しますね~」
のんびりした門番の声が聞こえてきた。
ギィイイイ……
軋んだ音を立てて門が開く音が
当たりに響く。
バルディア王国の鉄壁の門が
今開かれたのだ!
バタン!
門が閉じる音が聞こえたので、
私はシーツの山から這い出てきた。
すると既に城は遠ざかって行く。
「やった……ついに脱出できたのだわ!」
城から町まではあっという間。
荷馬車は石畳の上をガラガラと進み、
直ぐに城下町の中へ入って行く。
人通りが多くなったところで、
タイミングを見計らって荷台から
ひらりと飛び降りた。
「着地成功! 完璧な脱出劇ね!」
遠ざかって行く荷馬車を見送ると
フードを深く被り直し、まずは大きく深呼吸。
「町中に美味しそうな匂いが漂っているわ……
フフフ、何を食べようかな~」
ウキウキしながら食べ物屋の
散策を開始した――
****
町をブラブラ歩きまわり、
バゲットサンドとオレンジを
買った私は広場のベンチに座って
食事をしていた。
「う~ん! 美味しい! チーズ最高!」
食後のデザートにオレンジを食べ終え、
傍らのゴミ箱に皮を放り込むと立ち上がった。
「さて、今度は何を食べに行こうかな~」
朝から日傘に錬金術を使ったせいだろう。
私は猛烈に飢えていた。
「錬金術は便利だけど、
お腹が空くのが欠点よね~」
再びぶらぶら歩いていると、
不意に背後から声をかけられた。
「そこのお嬢さん、ちょっといいかい?」
振り向くとマントを羽織った
3人の見知らぬ男たちがいた。
1人の男が調子よく語りかけてくる。
「お嬢さん、俺たち実は屋台をやってるんだよ。
ただあまりまだ客が来ていなくてね。
人が来やすいように客のふりしてくれないかね?
さっき美味しそうにバゲットを食べている姿を見て、
お嬢さんしかいないってピンときたんだよ。
もちろんお代はいらない、
タダで食べさせてやるからさ」
「え!? それは本当ですか!?」
タダという言葉に心が躍る。
いくら姫とはいえ、タダという言葉には
弱いのだ。
「あぁ、どうだい?」
「もちろんです!
喜んで引き受けましょう!」
「よし、ならさっそくついてきてくれ」
「はい!」
3人の男たちは歩き出し、
私はイソイソと後をついて行った。
屋台と言うからには、
さぞかし人の賑わう場所で
開いているのだろうと思っていたのだが、
男たちはメインストリートから離れていき、
どんどん人気のない路地裏に入って行く。
……本当にこんな場所で
屋台を開いているのだろうか?
さすがの私も気になって声をかけた。
「あの~本当にこんな路地裏に
屋台があるのですか?」
すると男たちはぴたりと足を止めて、
何やら相談を始めた。
「……どうする? この辺でいいか?」
「そうだな……そろそろいいか?」
「うん、ころあいかもな?」
ころあい?
一体どういう意味だろう?
いや、それよりも……。
「あの~どうでもいいですけど、
屋台はどこにあるのです?
大分歩いてお腹が空いてきたのですけど……」
すると男たちはクルリと振り返った。
「フフフ……愚かな」
「本当に、ここまで単純だとはな」
「のこのこついてくるとは馬鹿な女だ」
寄ってたかって男たちは
言いたい放題なことを言ってくる。
これには温厚な私でも、
軽くプチッと切れてしまった。
「はぁ!?
いくら何でもそれは人に対して
失礼じゃない!?
馬鹿にされるのは目つきの悪い騎士、
キースだけで充分よ!」
ビシッと男たちを指さす。
「はぁ? キースだと?
しらねぇなぁ。そんな騎士は」
一人の男がマントをはねのけると、
腰に差したロングソードをすらりと抜いた。
「え!?」
「あるお方の命令で、あんたの命を頂くぜ」
更にもう一人の男がマントを払い、
両手にダガーを握りしめる。
「恨むなら俺たちを雇った、
あのお方をうらむがいい!」
最後の1人がバトルアクスを
こちらに向けてきた。
「はぁ!? ちょ、ちょっと冗談でしょう!?
大の男たち3人が寄ってたかって
か弱い乙女にそんな物騒な武器を
向けてくるなんて!」
あまりのことに思考がついて行かず、
男たち3人を順番に指さし、
抗議する。
「さぁなぁ! 呪うなら俺たちに
のこのこついてきた自分の愚かさを
呪うがいい! 野郎ども! いくぞ!」
「「おう!!」
男共が吠え、
凶刃が振り下ろされようとした瞬間。
「そこまでだ!」
鋭い声が路地裏に響き渡った――
城の裏門に辿り着いた私。
「ふぅ……やっとここまで来れた。
さてと……」
裏門の脇にある石壁にぴたりと貼り付き、
周囲をキョロキョロと見回した。
するとタイミングよく、
洗濯物を回収した荷馬車が
門を通過しようとしている。
「チャンスだわ!」
御者の隙を見て、ふかふかのシーツが
積まれた荷台へひらりと飛び乗る。
さらにシーツの山の奥底へと潜り込んだ。
「フフフ……どうやらうまくいったみたいね」
我ながら完璧な脱出に
シーツの下でほくそ笑む。
馬車はガラガラと音を立てて進んで行く。
心地よい揺れに身を任せていると、
やがて城門を通過したのだろうか。
「お疲れ様~開門しますね~」
のんびりした門番の声が聞こえてきた。
ギィイイイ……
軋んだ音を立てて門が開く音が
当たりに響く。
バルディア王国の鉄壁の門が
今開かれたのだ!
バタン!
門が閉じる音が聞こえたので、
私はシーツの山から這い出てきた。
すると既に城は遠ざかって行く。
「やった……ついに脱出できたのだわ!」
城から町まではあっという間。
荷馬車は石畳の上をガラガラと進み、
直ぐに城下町の中へ入って行く。
人通りが多くなったところで、
タイミングを見計らって荷台から
ひらりと飛び降りた。
「着地成功! 完璧な脱出劇ね!」
遠ざかって行く荷馬車を見送ると
フードを深く被り直し、まずは大きく深呼吸。
「町中に美味しそうな匂いが漂っているわ……
フフフ、何を食べようかな~」
ウキウキしながら食べ物屋の
散策を開始した――
****
町をブラブラ歩きまわり、
バゲットサンドとオレンジを
買った私は広場のベンチに座って
食事をしていた。
「う~ん! 美味しい! チーズ最高!」
食後のデザートにオレンジを食べ終え、
傍らのゴミ箱に皮を放り込むと立ち上がった。
「さて、今度は何を食べに行こうかな~」
朝から日傘に錬金術を使ったせいだろう。
私は猛烈に飢えていた。
「錬金術は便利だけど、
お腹が空くのが欠点よね~」
再びぶらぶら歩いていると、
不意に背後から声をかけられた。
「そこのお嬢さん、ちょっといいかい?」
振り向くとマントを羽織った
3人の見知らぬ男たちがいた。
1人の男が調子よく語りかけてくる。
「お嬢さん、俺たち実は屋台をやってるんだよ。
ただあまりまだ客が来ていなくてね。
人が来やすいように客のふりしてくれないかね?
さっき美味しそうにバゲットを食べている姿を見て、
お嬢さんしかいないってピンときたんだよ。
もちろんお代はいらない、
タダで食べさせてやるからさ」
「え!? それは本当ですか!?」
タダという言葉に心が躍る。
いくら姫とはいえ、タダという言葉には
弱いのだ。
「あぁ、どうだい?」
「もちろんです!
喜んで引き受けましょう!」
「よし、ならさっそくついてきてくれ」
「はい!」
3人の男たちは歩き出し、
私はイソイソと後をついて行った。
屋台と言うからには、
さぞかし人の賑わう場所で
開いているのだろうと思っていたのだが、
男たちはメインストリートから離れていき、
どんどん人気のない路地裏に入って行く。
……本当にこんな場所で
屋台を開いているのだろうか?
さすがの私も気になって声をかけた。
「あの~本当にこんな路地裏に
屋台があるのですか?」
すると男たちはぴたりと足を止めて、
何やら相談を始めた。
「……どうする? この辺でいいか?」
「そうだな……そろそろいいか?」
「うん、ころあいかもな?」
ころあい?
一体どういう意味だろう?
いや、それよりも……。
「あの~どうでもいいですけど、
屋台はどこにあるのです?
大分歩いてお腹が空いてきたのですけど……」
すると男たちはクルリと振り返った。
「フフフ……愚かな」
「本当に、ここまで単純だとはな」
「のこのこついてくるとは馬鹿な女だ」
寄ってたかって男たちは
言いたい放題なことを言ってくる。
これには温厚な私でも、
軽くプチッと切れてしまった。
「はぁ!?
いくら何でもそれは人に対して
失礼じゃない!?
馬鹿にされるのは目つきの悪い騎士、
キースだけで充分よ!」
ビシッと男たちを指さす。
「はぁ? キースだと?
しらねぇなぁ。そんな騎士は」
一人の男がマントをはねのけると、
腰に差したロングソードをすらりと抜いた。
「え!?」
「あるお方の命令で、あんたの命を頂くぜ」
更にもう一人の男がマントを払い、
両手にダガーを握りしめる。
「恨むなら俺たちを雇った、
あのお方をうらむがいい!」
最後の1人がバトルアクスを
こちらに向けてきた。
「はぁ!? ちょ、ちょっと冗談でしょう!?
大の男たち3人が寄ってたかって
か弱い乙女にそんな物騒な武器を
向けてくるなんて!」
あまりのことに思考がついて行かず、
男たち3人を順番に指さし、
抗議する。
「さぁなぁ! 呪うなら俺たちに
のこのこついてきた自分の愚かさを
呪うがいい! 野郎ども! いくぞ!」
「「おう!!」
男共が吠え、
凶刃が振り下ろされようとした瞬間。
「そこまでだ!」
鋭い声が路地裏に響き渡った――



