「……」
ようやく部屋の前に到着したキースが
不気味な沈黙を守っている。
「ちょ、ちょっと……一体何なのよ?」
先程まで互いに罵倒しあっていたのに
急に静かになると、逆に怖い。
すると――
バンッ!
いきなり私の扉を足蹴りで
力任せに開け放った。
予想外の彼の行動に思わず叫ぶ私。
「いやあああ! 何ってことしてくれるのよ!
真っ白な扉にあなたの足形が
くっきりついてしまったじゃないの!」
何と言うことだろう。
私の部屋の扉がキースの足蹴りで
汚されてしまうなんて!
「両手が塞がってるんだから、
足を使うのが効率的でしょう?」
キースはわざとらしく私を肩に担いだまま、
両手をひらひらさせて見せた。
「何よ! 両手空いてるじゃない!
確信犯ね!」
「あ〜ほんと、高性能な拡声器を
担いでる気分ですよ。
この穀物袋は」
「何ですって! まだそんなこと……を……?」
キースは私を抱えたまま
ベッドへ近づいていく。
え? 嘘でしょう?
……まさか、抵抗できない私を
そのままベッドに押し倒して……!?
私の脳内では、彼に無理やり唇を奪われ
『抵抗しても無駄ですよ、姫』
なんて低い声で囁かれて――
「嫌よ、こんなの!」と言いつつも抗えない。
なんていう、官能小説も真っ青な
妄想が爆走していた。
そんな……! まだ心? の準備が――!
思わず目をギュッと閉じたその時。
「よっと」
「ギャフンッ!」
視界が反転し、スプリングの効いたベッドに
顔面から沈み込んだ。
「な、何するのよ! い、いい!?
わ、私にゆ……指一本でも
ふ、ふ、触れようものなら
大声で叫ぶからね!?」
必死に跳ね起き、小刻みに震えながら叫ぶ。
するとキースが救いようのないゴミを
見るような目で私を一瞥した。
「……はぁ? 一体何をトチ狂った
想像をしてるのか知りませんがねぇ……。
俺にも選ぶ権利というものがあるので」
「はぁ!? ど、どういう意味よ!」
なぜかプライドを傷つけられている気がする。
「分かりませんか? 俺、チンチクリンな子供には
これっぽっちも興味がないんですよ」
「だ、誰がチンチクリンよ!
こう見えても私は……!
え? ちょっと! どこへ行くのよ!」
あろうことか、キースはまだ私が叫んでいるのに
背を向けて扉へ向かって歩き出す。
「こらー! 逃げるな!
謝りなさい、この目つきの悪い給料泥棒!」
傍らにあったピロウをつかみ、キースに向けて
ぶん投げる。
けれど投げたピロウは虚しく扉に当たり、
その直後、扉は不吉な青い光を放った。
あれは……封印の魔法!
「ちょ、ちょっと! 本当に私を閉じ込める気!?」
慌ててベッドから飛び降りて、扉に駆け寄った。
その途端――
バチンッ!
「きゃあ!」
激しい静電気のような衝撃に、
勢いよく尻もちをついてしまう。
「痛っ……! 本当に閉じ込めたのね!?」
すると扉の外から、人をおちょくったような
キースの声が聞こえた。
『あ〜本当にうるさい姫だ。
俺の任務は『姫の監視』であって
『重り(おもり)』の相手じゃないんですよ。
徹夜明けで死にそうなので、
俺は寝ます。
それでは、一週間の引きこもり生活を
心ゆくまでお楽しみください』
そして遠ざかっていく、軽快な足音。
「う、嘘でしょう……? 朝の食事だって
まだなのに……?」
冷たい床の上で、怒りに震えながら叫んだ。
「キース……のバカーッ!
お姉様の親衛隊だか何だか知らないけど、
絶対に後悔させてやるんだから!
この、茶髪野郎ーー!!」
お腹が空いて力が入らなくなるまで
キースへの恨みごとを吐き続けた――
ようやく部屋の前に到着したキースが
不気味な沈黙を守っている。
「ちょ、ちょっと……一体何なのよ?」
先程まで互いに罵倒しあっていたのに
急に静かになると、逆に怖い。
すると――
バンッ!
いきなり私の扉を足蹴りで
力任せに開け放った。
予想外の彼の行動に思わず叫ぶ私。
「いやあああ! 何ってことしてくれるのよ!
真っ白な扉にあなたの足形が
くっきりついてしまったじゃないの!」
何と言うことだろう。
私の部屋の扉がキースの足蹴りで
汚されてしまうなんて!
「両手が塞がってるんだから、
足を使うのが効率的でしょう?」
キースはわざとらしく私を肩に担いだまま、
両手をひらひらさせて見せた。
「何よ! 両手空いてるじゃない!
確信犯ね!」
「あ〜ほんと、高性能な拡声器を
担いでる気分ですよ。
この穀物袋は」
「何ですって! まだそんなこと……を……?」
キースは私を抱えたまま
ベッドへ近づいていく。
え? 嘘でしょう?
……まさか、抵抗できない私を
そのままベッドに押し倒して……!?
私の脳内では、彼に無理やり唇を奪われ
『抵抗しても無駄ですよ、姫』
なんて低い声で囁かれて――
「嫌よ、こんなの!」と言いつつも抗えない。
なんていう、官能小説も真っ青な
妄想が爆走していた。
そんな……! まだ心? の準備が――!
思わず目をギュッと閉じたその時。
「よっと」
「ギャフンッ!」
視界が反転し、スプリングの効いたベッドに
顔面から沈み込んだ。
「な、何するのよ! い、いい!?
わ、私にゆ……指一本でも
ふ、ふ、触れようものなら
大声で叫ぶからね!?」
必死に跳ね起き、小刻みに震えながら叫ぶ。
するとキースが救いようのないゴミを
見るような目で私を一瞥した。
「……はぁ? 一体何をトチ狂った
想像をしてるのか知りませんがねぇ……。
俺にも選ぶ権利というものがあるので」
「はぁ!? ど、どういう意味よ!」
なぜかプライドを傷つけられている気がする。
「分かりませんか? 俺、チンチクリンな子供には
これっぽっちも興味がないんですよ」
「だ、誰がチンチクリンよ!
こう見えても私は……!
え? ちょっと! どこへ行くのよ!」
あろうことか、キースはまだ私が叫んでいるのに
背を向けて扉へ向かって歩き出す。
「こらー! 逃げるな!
謝りなさい、この目つきの悪い給料泥棒!」
傍らにあったピロウをつかみ、キースに向けて
ぶん投げる。
けれど投げたピロウは虚しく扉に当たり、
その直後、扉は不吉な青い光を放った。
あれは……封印の魔法!
「ちょ、ちょっと! 本当に私を閉じ込める気!?」
慌ててベッドから飛び降りて、扉に駆け寄った。
その途端――
バチンッ!
「きゃあ!」
激しい静電気のような衝撃に、
勢いよく尻もちをついてしまう。
「痛っ……! 本当に閉じ込めたのね!?」
すると扉の外から、人をおちょくったような
キースの声が聞こえた。
『あ〜本当にうるさい姫だ。
俺の任務は『姫の監視』であって
『重り(おもり)』の相手じゃないんですよ。
徹夜明けで死にそうなので、
俺は寝ます。
それでは、一週間の引きこもり生活を
心ゆくまでお楽しみください』
そして遠ざかっていく、軽快な足音。
「う、嘘でしょう……? 朝の食事だって
まだなのに……?」
冷たい床の上で、怒りに震えながら叫んだ。
「キース……のバカーッ!
お姉様の親衛隊だか何だか知らないけど、
絶対に後悔させてやるんだから!
この、茶髪野郎ーー!!」
お腹が空いて力が入らなくなるまで
キースへの恨みごとを吐き続けた――



