翌日。
私たちは友情を深めるという目的のもと、4人でとある場所に訪れていた。
「ほわっ、これ美味しい!」
「花奈ちゃん、そのチョコケーキ一口ちょうだい!レモンタルト一口あげるから!」
「もちろん!」
ケーキやタルトが有名なカフェだ。
弦くんや怜悧も自分たちの好きなものを食べ、舌鼓を打っている。
弦くんは一番人気のいちごショートケーキ、怜悧は大人の味のティラミス。
私はレモンタルトを頼んだけれど、確かにこれは美味しい。有名になるだけある。
花奈のチョコケーキも甘すぎずちょうどいい味付けだ。
「春野くんは大人の味が好きなんだね」
「うん、まあね。でも甘いのも好きだよ、頭使った後とかよく食べる」
「わかるー!食べたくなるよね!」
花奈は、気になっているであろう相手の怜悧とお話しできてご満悦の様子。
それを横目で見ながら、私はさらに話を振った。
「花奈ちゃんは他に人気のカフェとか知ってる?」
「うーん、実はあんまり知らないんだよね。普段は行きたくてもパパたちに行かせてもらえないから」
「えっ、今回はいいのか?」
「うん、まあね!」
驚いた様子の弦くんに、花奈ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
今回は、私が花奈の親――つまり西宮会の会長に、許可をとった。
いろいろと理由をつけて説得したが、この外出の本来の目的は花奈を利用するために仲良くなりたいからだ。
ようやく行きたいカフェに来れたのにそれが彼女を利用するためだったなんて、花奈が知ったらどんな顔をするだろうか。
とはいえこれをやめるつもりはないから、哀れんでも仕方ないんだけど。
「そっか」
そうやって私が考えながらリンゴソーダを飲んでいる間に、怜悧はとびきり優しく花奈に笑いかけた。
「なら、存分に楽しまないとね。今度はみんなで遊びに行こうか」
「! ……ほんと?いいの?」
「もちろん。花奈と一緒にいると楽しいから」
怜悧の言葉に、花奈は嬉しそうに頬を赤らめた。
うーん、流石の手腕。
世間知らずで、恋愛対象になる男性とあまり知り合っていない花奈は、突如現れたどタイプの男性に撃ち抜かれないわけがないよね。
そしてそうだとしても、怜悧の花奈に向ける笑顔は本当に自然で上手だなあ。私も見習わないと。
そんなふうに感心しながら、私は弦くんをちらりと見る。
彼は目の前で繰り広げられるラブロマンスの気配に全く気づかず、呑気に自分のケーキを食べている。
スポンジからカットパイナップルが出てきた驚愕で頭が支配されているらしい。
ケーキの中に入っている果物はイチゴだけだとでも思っていたんだろうか。
……まあいいや。
私も、目の前の2人に気づいていないふりをして、自分のレモンタルトを一口食べた。
そうやって、一つずつ、私たちは「青春」を積み上げる。
花奈が言って欲しいであろう言葉を紡ぎ、花奈の前で楽しそうに笑う。
学校で使っている私の筆箱には、花奈とお揃いのチャームがついた。
そして私は花奈と2人で文具を買いにショッピングモールに行き、現在彼女は怜悧が使っているシャーペンの色違いを嬉しそうに使っている。
弦くんと怜悧はよく何かにつけて勝負をしている。
その上私たちは、カフェもお菓子屋もショッピングモールに、何度も行った。
まるで、本物の純粋な高校生のように。



