推しの妻になりました〜アイドルと契約結婚〜



 数日後。
 ついにその日がやってきた。
 荷物は事前に手配された業者の手によって、当日には移動が完了していた。

 苺依が向かったのは、ホテルから数分のところにある一等地。
 そこにそびえ立つ超高層マンションの最上階。
 セキュリティを3つも抜けた先にある部屋。
 第一印象は生活感が一切ない、モデルルームのような冷たい空間だった。

――――ピンポーン

 呼び鈴を鳴らすとTOMAが玄関を開けに来た。

「やっと来たか。入れ」
「お邪魔します」
「自分の家なのに?」
「あ……」
「………ふっ」

 前を歩くTOMAが少し笑った気がした。
 リビングに通されると、その圧倒的な広さに驚く。

「ひっっっっろ!」

 映画館か?
 と突っ込みたいくらいの大きなテレビ。
 パーティーでもあるの?
 っていうくらいでかいテーブル。

 想像以上なんだけど。
 っていうか家賃いくらなんだろ。
 考えただけでも恐ろしい。

 TOMAはリビングに入るなり無造作に上着を脱ぎ捨て、ソファに座り込んだ。
 画面越しに見ていた「王子様」の面影はどこにもない。

「喉乾いてんなら、冷蔵庫の水勝手に飲んでいいから」
「あ……ありがとう」

 苺依が緊張でガチガチになりながらキッチンへ向かおうとした、その時だった。

――――ピロリローン♪

 軽快な電子音とともに、玄関のロックが外れる音が響く。

「トマくーん! 買ってきたよー、タピオカ!」
「……チッ、また来たのかよ」

 リビングに飛び込んできたのは、見覚えのあるピンクヘアの美少年。
 XENOのSHOだった。

――To be continued