ハルが犬の姿に戻ってから数日。
『実は犬でした!』なんて言えるわけがなくて、家の都合で東京へ戻っている……ということになっている。
「うん、まだ戻ってこれそうにないんじゃないかな……」
「そっか。百瀬くんがいないと寂しいね」
咲ちゃんの言葉に、困ったように笑顔だけを返すわたし。
「それよりさ、今日は先輩と一緒に登校してきたの?」
「あー……うん」
話を逸らすようにわたしが聞くと、咲ちゃんは顔を赤くしながら頷いた。
あれから付き合い始めた咲ちゃんと奥野先輩は、上手くいっているみたい。
わたしも一度咲ちゃんの友達として奥野先輩に挨拶させてもらったけど、すごく優しくて良い人だった。
体育会系の咲ちゃんと、文科系の奥野先輩。
パッと見、釣り合ってないって言う人もいるみたいだけど、優しい二人はとてもお似合いだと思う。
そして、
「いいなぁ……」
別に彼氏が欲しいとかじゃないけど、わたしは気持ちが零れるように呟いた。



