「小林さん、負けないからね」
「え?」
「ハルくんのこと、負けないから」
坂井さんからの、突然の宣戦布告。
「えっ、ちょっと待って」
「じゃあハルくん、また学校で!」
だから違うって否定しようとしたのに、坂井さんは逃げるように走り去ってしまった。
「もう……」
みんな人の話を聞こうとしないんだから。でも……。
今まで何をしていても、いつもどこか重かった気持ちがスッと軽くなる。
あの日からずっと降り続いていた、心の中の雨。
それがやっと止んで、雲の間から晴れ間が差す。
咲ちゃんも坂井さんも、自分の気持ちに素直に前に進んでいて。
カタチは違うけど、わたしも前に進みたい。
「いつか、沙彩ちゃんともう一度話がしたいな……」
ぽつり、小さく呟いたわたしに、ハルは優しく微笑んで頷いてくれた。
そして──……。



