「百瀬くんも、ありがとう」
「ううん、良かったね!」
咲ちゃんの言葉に、ニコニコと笑顔で返事するハル。
誰かと想いが通じるって、すごい。
本人だけじゃなく、周りまでこんな幸せな気持ちにしてくれちゃうんだもん。
3人でワイワイと盛り上がっていると、
「おはよう」
後ろから誰かが声をかけてきて、振り返った。
すると、わたし達の後ろに立っていたのは──。
「坂井さん……」
『おはよう』と、挨拶を返すことも忘れて名前を呼ぶ。
そして、彼女の姿を見た瞬間、心が怖がるみたいにキュッとなった。
「えと……」
坂井さんが見つめるのは、珍しくハルじゃなくてわたし。
咲ちゃんの誤解は解けたわけで、何を話したらいいのか分からず困っていると、
「昨日はごめんなさい」
坂井さんは神妙な面持ちのまま、わたしに頭を下げた。
「小林さんは何もしてないのに、小林さんのせいみたいに言ってごめん」
口調はハッキリしている。
だけど、肩にかけたバッグの紐を握る坂本さんの手は、微かに震えていた。



