イケメン男子はわたしのワンコくん!


教室の引き戸前、ピタッと固まった沙彩ちゃんの姿を、わたしは今でも忘れられない。

顔を真っ青にして、俯く沙彩ちゃん。


「沙彩ちゃ……」


どうしたらいいか分からなかったけど、どうにかしなくちゃと、小さく声をかけようとした。

その瞬間、ハッと気付いたように顔を上げ、沙彩ちゃんは泣きそうな顔をしてわたしを見た。


そして、今のわたしと同じ。

逃げるみたいに走り出した。


外は雨が降っていて、傘もささずに走るわたしたちはずぶ濡れで。


「──待って、沙彩ちゃん!」


やっとの思いで追いついたわたしは、沙彩ちゃんの腕を掴んで止めた。


「あのっ……」


息が切れて大きく肩で呼吸する。

上手い言葉が見つからない。だけど、放っておくことなんて出来なくて。


「なんで…………なの?」

「え?」


沙彩ちゃんが何かを言ったけど、雨音でよく聞こえない。

わたしはちゃんと聞き取ろうと、一歩沙彩ちゃんに近付こうとした時──。