イケメン男子はわたしのワンコくん!


「なんで……知ってんの?」


ぽつり、咲ちゃんが呟いた言葉にドキッとしたのは──わたし。


瞬間感じるデジャヴ。

この展開を、わたしはとてもよく知っている。


「それは……」


含みを持たせるように口を開いて、坂井さんはチラッとわたしに目を向ける。


「結芽……?」

「ちがっ……」


坂井さんの視線を追うようにして、こっちを見た咲ちゃんに、わたしは反射的に首を横に振ろうとする。だけど、


『結芽のこと信じてたのに!嘘つき!大っ嫌い!』


頭の中に響いた、あの子の声。


今、ここでわたしが違うって言って、信じてもらえる?

咲ちゃんの好きな人の話、わたししか知らないはずなのに?


そんなの──。


じわっと込み上げてくる感情。

それがこぼれ落ちそうになった瞬間、わたしは逃げるみたいに教室を飛び出していた。