「咲ちゃんも、坂井さんも、すごいなぁ……」
だれかを『好き』になるって、どんな感情なんだろう。
そんなことを考えながらぼんやりしていると、
「結芽ちゃん、宿題教えてー!」
ガチャッと勢い良くドアを開け、部屋に入ってきたのはハル。
「ちょっとハル、入る時はノックしてって言ったでしょ!」
「あっ、ごめんごめん」
後頭部を搔きながら素直に謝るハル。
全く悪気のないその様子に、わたしは仕方ないなと息を吐く。
「どこが分からないの?」
「ここなんだけどさー」
ハルが持ってきたのは数学のプリント。
「これはね……」
この前まで犬だったハルだけど、不思議なことに読み書きや、単純な計算とか、普通にできてしまって。
だから、少し教えただけで……。
「あ、そっか!」
頑張って勉強しているこっちが悔しくなるくらい、簡単に理解できてしまう。
こうしていると、本当に普通の同級生。
どうして理解できるのかは、ハルにも分からないらしいけど、おかげで学校で困ったり、怪しまれることなはい。



