わたし達はわたし達の会話に夢中で、
「あーもう、あとちょっとだったのに」
「ちょっと咲、調子のってんよね」
「そういえばさ……」
席に戻った坂井さんが、友達とそんな話をしていることに気付かなかった。
そして──。
***
あの時、咲ちゃんが言おうとしたことは、何となく分かってる。
きっと、ハルのことを本当に好きじゃないの?って、確認しようとしたんだと思う。
「好きも何も、ハルはこの前まで犬だったわけで……」
──なんて、言えるわけないけど。
少しずつ段ボールを片付けて、自分の色に染まってきた部屋。
その日の夜、わたしはベッドの上に仰向けに寝転んで、天井に向かって呟いた。
どうしてみんな何でも恋愛に結び付けるかなぁ……。
ハルのことはものすごく大切だし、大好きだけど、この感情は『家族』だからだと思う。
それにそもそも、そういう『好き』っていう気持ちが、わたしにはまだ分からない。



