イケメン男子はわたしのワンコくん!

「あっ、咲ずるーい!私達も一緒に行きたい!」

「渚は頑張って彼氏つくりなよ」

「無理だって分かってるくせに、ひどー」


咲ちゃんと友達たちの掛け合いに、わたしはクスクスと笑う。


何でもない日常。

だけど……。


ワイワイと盛り上がるわたし達の横を、一人の男子が追い抜くように通り過ぎた。

その瞬間、その人の荷物からプリントが一枚落ちて、わたしはそれを拾う。そして、


「橋本くんっ」


ほんの少し、緊張しながら声をかけた。

話すのは『あの時』以来。


「あの、これ……」

「あぁ、ありがと」


ドギマギしつつも差し出すと、橋本くんは思っていたよりあっさりと受け取ってくれた……と、思いきや。


「……」


じっとわたしの顔を見つめる橋本くん。

な、なに……?


今度は何を言われるんだろうと、思わず構える。すると、


「楽しそうじゃん」


橋本くんはひと言そう残して、背を向けた。