「結芽ちゃん!」
わたしを呼ぶハルの声が後ろから聞こえたけど、振り返らなかった。
ハルは何も悪くない。
わたしの気持ちなんて分からなくて当たり前。
頭では分かっているのに、感情を抑えきれなかった。
──わたし、何しちゃったんだろう。
きっとハルを傷つけた。
校舎を出てから、途端に後悔する。
グラウンドからは野球部の練習する掛け声が聞こえる。
せっかく出来た友達の誘いを断ってまで、ハルはわたしを待ってくれていたのに。
ハル、ひとりでちゃんと帰れるのかな……。
冷静になって心配になって、校舎の方を振り返るけれど、今更もう戻れない。
それに今、上手く謝れる自信がない。
ハルならたぶん大丈夫、だよね。
わたしは少し頭冷やした方がいいかも……。
わたしはカバンを持つ手にぎゅっと力を入れ、ゆっくりと歩き出した。
そしてそれは、校門から出てすぐの所だった。



