「だったら、そんな寂しそうな顔するのやめたら?」
冷たく言い放った橋本くんの声が、静かな廊下に響く。
そしてそのまま橋本くんは、わたしに背中を向けた。
……わたし、寂しそうな顔なんてしてた?
鏡なんてないもん、自分の表情なんて分からない。
でも……何も言い返せなかった。
橋本くんの言葉は胸の深いところに刺さるような気がして、ズキンと傷んだ。
***
「あ、結芽ちゃん!」
完全に落ちた気持ちでトボトボと教室に戻ると、ひとり残っていたのはハル。
「……え?野球するんじゃなかったの?」
もしくは、女子たちと遊びに行くか。
どっちにしろ、ハルはいないと思っていたから驚いた。
「うん、そうだったんだけど……やっぱり結芽ちゃんと一緒にいたいなーって思って」
ニコニコと相変わらずの笑顔で、駆け寄ってくるハル。
嬉しい……はずなのに、どうしてだろう。
息が詰まるような気がして、胸がちょっと苦しい。



