「あの子に会えたのは、それが最後」
おばあちゃんは大切な宝物に蓋をするように、目を細める。そして、「ね、不思議な話でしょう?」と、わたしに笑いかけた。
「おばあちゃんが若い頃の話で、いつの間にか忘れていたのだけど、ハルくんが人間になって思い出したの」
「人間になった姿が、あの子に少し似ていて」と、続けるおばあちゃん。
「物事には全部意味がある、って言ったのも、あの子なのよ。ほら、神様の言うことだから、信憑性があるでしょう?」
まるでわたしを励ますようなおばあちゃんの言い方に、わたしもつられて笑顔を浮かべる。
「だから、ハルくんが人間になったのも、犬に戻ったのも、ちゃんと意味があると思うの。そして……」
わたしの目を、じっと見つめるおばあちゃん。
「結芽ちゃんがまた人間のハルくんに会いたいと思うなら、絶対にまた会えるとおばあちゃんは思うわ」
「ハルくんはいつもこんなに近くにいるのだし」と、おばあちゃんは足元のハルにも優しく微笑んだ。



