おばあちゃんが最後に見たその子の表情は、泣きそうな優しい笑顔だった。
「その時にやっと、本当に神様だったんだって分かったの」
それからもおばあちゃんは何度も山に行ったけど、その子にはもう会えなくて。
おばあちゃんは大人になって、結婚して、子どもも生まれて。
いつしかその子のことを忘れてしまっていた、ある日──。
「まだ小さかった渚がね、山に遊びに入ってしまって、行方不明になって」
「お母さんが?」
「そう。目を離してしまったおばあちゃんが悪いんだけど、すごく焦って、泣きながら探していたの。そしたら……」
おばあちゃんの話に、わたしは息を飲む。
「あの子がね、眠る渚を抱き抱えていたの」
久しぶりに見たその子の姿は、昔のままで。
優しく微笑む様子に、迷子になったお母さんを見つけてくれたんだって、すぐに分かった。
お母さんが見つかったことへの安堵と、もう一度会えた奇跡に、おばあちゃんはボロボロと涙を流したらしい。



