Blue Forest

「クララ……クララ……。素敵な名前だね」

両親以外の誰かに名前を呼ばれるなど、初めてのことである。クララの胸にまた知らない感覚が走っていく。

「さっさとスープ飲みなさい!」

高鳴る鼓動を抑えるようにクララは椅子から立ち上がり、寝室から素早く出る。怖いはずの人間が、全く怖くなかった。

(むしろ、「もっと話してみたい」なんて私は何を考えているの……)

布を外せば、人ならざる赤い目が露わになる。クララは生まれな時からあるその目を見て、何故か悲しさを覚えてしまった。



その日から、不思議な同居生活が始まった。人ならざるクララと人のオスカー。クララは目元に常に布を巻き、自分の正体をなんとか隠せている。

(目を隠さなければならなくなった時、家事ができるようにお母さんが訓練してくれていて助かったわ)

最初は寝てばかりだったオスカーも、二週間ほど経った今ではクララの手伝いをしてくれている。

「クララ。洗濯物干し終わったよ」

「ありがとう」