ダウナーちゃんは死にたがり


遠くでチャイムが鳴った。

五時間⽬開始の予鈴。

けれど、⼆⼈とも動かない。

伊織はフェンスに背中を預け、空を⾒上げた。

「ねえ」

「ん?」

「宇野くんはさ。

⽣きるの、⾯倒にならない?」

亮哉は少し考える素振りをした。

「なるよ。」

あっさりと⾔ってのける。

「朝起きるのも、学校来るのも、全部だるいし。」

「……でも、⽣きてるじゃん」

「まぁね」

「......なんで?」

伊織の声は、責めるでもなく、純粋な疑問だった。

亮哉はポケットに⼿を突っ込んだまま、屋上のコンクリートを

⾒つめる。

「別に、理由なんかないでしょ。」

伊織の眉がわずかに動く。

「ただ、死ぬのってさ。

“終わる”ってことじゃん。」

押し黙る伊織に構わず、亮哉は続ける。

「⽣きてりゃ、最悪逃げられる。転校でも引きこもりでも海外でも。

でも死んだら、それで終わり。もう選択肢ゼロじゃん。」

淡々としている。