「はいはい、拾いますよ......」
そう⾔って⾜元のタバコを拾い上げ、ポケットから出した携帯灰⽫に
⼊れると、乾いた笑みを浮かべて続けた。
「相⾺はさぁ....、達観してるようなイメージがあったんだよね。
なんとなく、周りの奴らとは違う雰囲気で、⼀線引いてる感じが
してた。」
その時、伊織は初めて、正⾯から亮哉と⽬を合わせた。
「....そんなことないよ。 私は......⾃分に酔ってるだけ。」
「⾃分に酔ってる...か。
確かにな。俺も、そのうちの⼀⼈なのかもしれない。」
亮哉はそう⾔って、フェンスのほうへ視線を流した。
⾵が吹く。
伊織のアッシュグレーの髪が揺れた。
「俺さ」
ぽつり、とした響き。
「別に、⽌めてないよ。相⾺のこと。」
伊織は瞬きをした。
「へぇ」
「だって、俺に⽌める理由ないし。」
声は平坦。
本当に、ただの事実を述べるみたいに。
「でも」
⼀拍置いて、
「このままほんとに死なれたら、たぶん、しばらく眠れない。」
伊織は少しだけ⽬を細めた。
「……罪悪感とかで?」
「いや、単純に後味悪い。」
即答だった。
伊織はくすっ、と笑う。
「正直。」
「半分脅し、のつもり。」
沈黙が落ちる。



