伊織はブレザーを胸元に引き寄せる。 煙草の匂いが、かすかに残る。 ⾃分じゃない誰かのことを思うのは、初めてだった。 ⽬を閉じる。 暗闇の向こうに、屋上の横顔が浮かぶ。 無表情で、達観していて、 どこか、ひどく孤独そうな横顔。 「……宇野くん。」 ⼩さく呟いて、天井を⾒上げた。