それを確認してから、伊織は階段を上がる。 ⾃室のドアを閉めると、世界が⼀段階静かになる。 ベッドに腰を下ろし、ブレザーを脱ぐ。 その下から現れたのは、今⽇借りたままの―― 「あ.......返すの忘れた。」 宇野のブレザー。 指先でそっと⽣地をつまむ。 ほんのり、煙草の匂い。 嫌いなはずの匂いなのに、不思議と不快じゃない。 ベッドに寝転ぶ。 天井を⾒つめる。