ダウナーちゃんは死にたがり


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「ただいま。」

⽞関に声を落とすと、キッチンから⺟の声が返る。

「おかえり、伊織。ごはん温める?」

「あとでいいかな。ありがと。」

いつも通りの、温度。

怒鳴り声も、無視もない。

特別優しくもないけれど、ちゃんと⽇常がある。

両親はきっと、伊織が死んだら、悲しんでくれるのだろう。

両親は……………2⼈は、良い⼈だから。

洗⾯所の明かり。

テレビの⾳。

味噌汁の匂い。

――今⽇も、普通だ。

何⼀つ代わり映えのない、平凡な家庭。