ダウナーちゃんは死にたがり


「ああ、邪魔してごめんね。俺はここで⾒てるからお構いなく。

……どーぞ。」

そう⾔ってポケットから、タバコとライターを取り出す。

完全にタイミングを失った伊織は、先程までの⾼揚感が嘘のように

いつもの気怠げな表情を浮かべると、ため息を付いた。

「.........未成年喫煙じゃん。

当たり前みたいに出されると、反応に困るんだけど。」

僅かに眉をひそめた伊織に構わず、亮哉はタバコを咥え⽕をつけた。

「⼀本いる?」

そんな呑気な返答に、伊織は軽く⾸を振った。

「体に悪いから吸わない。」

それを聞くと、亮哉は⾯⽩そうに⽚眉を上げた。

「今死のうとしてたのに?」

予想外の⾔葉に、伊織は思わず吹き出した。

「............ふふ...っ、あはは.....っ

たしかにそうだね。今更健康なんて気にしなくていっか。」

そう⾔うとフェンスを乗り越えて再び屋上に戻り、亮哉に歩み寄った。

「じゃあ⼀本貰う。どうせなら、吸ってから死にたい。」

亮哉はふっと笑って煙草の箱を差し出す。

「宇野くんがタバコとか、意外。⼤⼈しそうなイメージ持ってた。」

箱から⼀本出し、⽕をつけてもらいながら⾔った。

「そりゃそうだ。勘付かれたら終わりだし。」

そう⾔ってまた平然とした様⼦で煙を吐く。