* * * 校⾨を出ると、夜気がひやりと頬を撫でた。 並んで歩く。 微妙な距離。 近すぎず、遠すぎず。 伊織はブレザーの袖に⼿を半分埋めたまま、ぼんやり前を⾒ている。 「今⽇さ」 「ん」 「なんで起こしてくれたの。」 「⾵邪ひかれたら後味悪い。」 即答。 伊織はくすっと笑う。 「ほんと、⾃分基準。後味気にしすぎでしょ」 「⼀貫してると⾔ってくれ。」 信号待ち。 ⾚。 街灯が伊織の横顔を照らす。 その横顔は、昼間より少しだけ脆く⾒えた。