亮哉は少し迷ってから、伊織の⽿からイヤホンを外した。 「……ん……」 ⼩さく眉が寄る。 けれど、⽬は開かない。 「相⾺、帰んないの。」 「……帰る……たぶん……」 寝⾔みたいな返事。 亮哉は⼩さく息を吐く。 「たぶんって何。」 「……いま、むり……」 声が掠れている。 亮哉は椅⼦を引いて、伊織の隣に座った。 沈黙。 窓の外で、吹奏楽部の⾳が途切れる。