チャイムが鳴る。
五時間⽬終了。
屋上の⾵が、⼆⼈の間を通り抜ける。
伊織はイヤホンを外し、ポケットにしまった。
「教室戻る?」
「戻るよ。成績やばいし」
「じゃあ私も戻ろう」
「.........てか相⾺って、意外とメンヘラだよね」
「.......え、そんなことない。」
並んで歩く。
今度は、ほんの少しだけ距離が近い。
フェンスの向こうは、今⽇も静かだ。
でも伊織の中で、“今すぐ消えたい衝動”は、昨⽇よりほんの少しだけ、
輪郭を失っていた。
――これは、私が死ぬだけの物語。
のはずだった。
けれど、
もしかしたら。
少しだけ、違うのかもしれない。



