「……⾯倒くさいなぁ。」 ぽつり。 「なにが」 「⽣きるのも、死ぬのも。」 亮哉は⼩さく笑った。 「じゃあ、とりあえず保留でいいじゃん。」 「なにそれ。」 「“今⽇は死なない”ってこと。」 伊織は⽬を伏せる。 ⻑いまつげが震える。 「……⼀⽇単位?」 「⼀時間でもいい。」 軽い。 軽いのに、逃げ道になっている。 伊織は深く息を吐いた。 「……じゃあ、今⽇も死なない。」 「うん。」 「それもこれも、ぜーんぶ宇野くんのせいだ。」 「それ、昨⽇も⾔ってた。」 伊織は⼀歩近づく。