伊織は沈黙する。 胸の奥が、微かにざわつく。 昨⽇までなら、 「どうでもいい」で終わっていたはずの⾔葉。 なのに今⽇は、 なぜか、引っかかる。 「……宇野くんってさ」 「ん?」 「優しいのか冷たいのか、分かんない。」 「どっちでもないよ。」 即答。 「ただ、⾃分の後味を守ってるだけ。」 伊織はくすっと笑う。 「最低」 「それも知ってる」 その空気は、不思議と軽い。 伊織はフェンスの外を⾒た。 あの縁は、今⽇もちゃんとある。 逃げ道として。 終わりとして。