ダウナーちゃんは死にたがり


「......そんな⾯⽩かった?」

タバコをじとっと軽く睨みながら、伊織が尋ねた。

「半分本気、半分ノリと勢い。

対して⾯⽩くないことでも、なんか笑ってると⾯⽩いことみたいに

思えてくるんだよね。」

そう⾔って、再びタバコをもう⼀本取り出し、ふっと笑った。

「.......ってか、相⾺は結局死ぬの?」

亮哉が今度こそタバコを咥え、⽕をつけようとライターを取り出した

次の瞬間――

「さぁ、どうだろ。」

その⼀⾔と同時に、伊織が亮哉のすぐ後ろのフェンスに

⼿を叩きつけた。

硬い⾳が亮哉の⿎膜を震わせる。

「っ、――」

亮哉の余裕を含んだ掴みどころの無い笑みが崩れた。

突然の出来事に、流⽯の亮哉も驚いた様⼦で僅かに⽬を⾒開く。

だが伊織はそんなことなど意にも介さず、無表情のまま亮哉に

ぐっと顔を近づける。

その距離は、ほとんど体感0cm。

亮哉がタバコを咥えたまま⼾惑い、固まっていると、

伊織はムッとしたような表情で亮哉が咥えているタバコの反対側を咥えた。

「は.........」

あまりに衝撃的な⽬の前の光景に、思わず亮哉はぽかんとしたまま、

⼝からタバコを落としてしまった。

そんな亮哉に構わず、伊織は咥えたタバコを離してポケットに仕舞うと、

依然としてムッとした仏頂⾯のまま⼝を開いた。

「......だから、タバコもう駄⽬って⾔ったじゃん。吸いすぎ。」

亮哉は伊織の⾔葉を聞いてハッと我に返ると、⼾惑いを含んだ強張った

表情で、引きつった笑みを浮かべた。

「.......相⾺さ、ほんとに距離感、考えたほうが良いよ...?」

珍しく余裕なさげな亮哉に、⾸を傾げる伊織。

そんな伊織に、亮哉は両⼿を上げて、ため息混じりに降参のポーズを

取った。