⼝調は淡々として、申し訳なさも、演技めいたものもない。
許可をもらうと、伊織は教室を静かに抜け出す。
廊下の窓から差し込む光が、肩に落ちる。
周りの⽣徒たちが雑談する声も、⾜⾳も、彼⼥には雑⾳にすぎない。
階段を駆け上がることもなく、ゆっくりと、しかし迷いなく
三階から四階へ。
屋上への扉の前に⽴つと、胸の奥でほんのわずかに⾼鳴るものを
感じる。
ドアノブに⼿をかけ、静かに押す。
その先には――昨⽇と同じ、静かな⾵の吹く空間。
伊織はいつもの無表情のまま、屋上へ⾜を踏み⼊れた。
「ふはっ、なんでいんの。サボり?」
開⼝⼀番、冗談めかした⼝調でそんな事を⾔ってきたのは――
やはり、亮哉だった。



