亮哉は顔を少し上げ、⽬を細めると、伊織を⾒つめ返すこともなく、 ただ軽く頷いた。 「……おはよう。」 声は⼩さく、だがしっかり聞こえる。 ⼒の抜けた、静かな挨拶。 「.......ん」 教室の喧騒は続く。 でも、⼆⼈だけは、その中で少しだけ時間の流れが違う。 静かで、ぼんやりとして、だけど確かに存在する。 伊織は席に腰を下ろし、机に肘をつく。 頭上の窓から差し込む朝の光が、ウルフカットヘアの髪を淡く染めた。