極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

「……ありがとうございます」
「ん? ……こっちこそ、いつもありがとう」

 これからも、幾度ともなく告げるであろう感謝の言葉。

 おかしがりながらも、同じ言葉を返してくれる彼と微笑み合っていると。
 さらり――風が心地よく頭を撫で、私は目を閉じてそれを迎え入れる。

(ずっと……この人が側に居てくれますように)

 その事実さえあれば……私はどうしようもなかった昔のことも、きっとしっかり受け止められる。そして……この先のひとつひとつのことを愛しながら過ごしていけるような気がする。 

 だから、大切にしよう。この人の隣にいられる今を、目一杯に。

 そして、祈ろう……。
 これからも起こる数限りない奇跡(まいにち)を――当たり前にしてしまわないようにと、願って。

(おしまい)