面識のなかった同級生と名前のない関係になったら、隙間なく重なる相性で離れられなくなった

 ふと、さらさらのシーツの上で、目が覚める。

 ぼんやりと部屋を見渡すと、ベッドと最低限の服以外は、すべて段ボールに囲まれていた。

 初めてこの部屋で目覚めたときのようなデジャヴを感じる、淡い朝焼けの色。
 それがカーテンの向こうにうっすらと透けている。

 そっとベッドを抜け出し、窓を開けてベランダに出た。

 ハッと、息が漏れる。
 ちょうど今、日が昇ってくるところだった。


「…………澪?」

 隣にいない私に気づいて目覚めた史人に、ベッドの上から声をかけられる。

「……ここからの景色、最後に目に焼き付けておこうと思って」

 まだ眠そうに目を細めながら、ゆっくりと窓枠に歩み寄る彼。
 そのまま腰掛けて、煙草に火をつけた。

「……まあ、新しい部屋のベランダも東向きだから、似たようなのは見えるんじゃない? 階はここより低いけど」

 史人が静かに煙を吐き出す。

 昇ってくる朝日の温度を背中で感じながら、ベランダの柵に寄りかかり、その横顔にじっと見惚れた。

「なに?」

「……ううん。なんでもない」

 彼はフッと煙を吐き出し、何かを思いついたように悪戯っぽく笑った。

「……あ。まだ全然時間あるし『この部屋での最後』、しとく?」

「…………もー」

 静かな朝焼けの空気の中で、私たちは声を潜めて、小さく笑い合った。





―― 完 ――





最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
「言葉より、身体や態度で」をテーマにした作品でした。

少しでもお楽しみいただけていたら、幸いですm(_ _)m


―― 他作品一覧 ――


▼ 連載中

『触れられなくても、君がいい。』
―― 遠距離じれキュンロマンス。暑い夏に読んでいただけたら嬉しいです。
https://www.no-ichigo.jp/book/n1787696


▼ 完結済み

『ねえ、はやく降参してよ。』
―― 同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。(甘々ビターロマンス)
https://www.no-ichigo.jp/book/n1786166

『ふたつの弧が、重なるとき』
―― 元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。(純愛ロマンス)
https://www.no-ichigo.jp/book/n1775690

『幼馴染への三度目の失恋を回避したい』
―― 激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。(じれじれラブコメ)
https://www.no-ichigo.jp/book/n1779799


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改めまして、本作品を読んでいただき、誠にありがとうございました。

またいつでも読みにきていただけたら、とても嬉しいです。