面識のなかった同級生と名前のない関係になったら、隙間なく重なる相性で離れられなくなった

 ふと、さらさらのシーツの上で、目が覚める。

 ぼんやりと部屋を見渡すと、ベッドと最低限の服以外は、すべて段ボールに囲まれていた。

 初めてこの部屋で目覚めたときのようなデジャヴを感じる、淡い朝焼けの色。
 それがカーテンの向こうにうっすらと透けている。

 そっとベッドを抜け出し、窓を開けてベランダに出た。

 ハッと、息が漏れる。
 ちょうど今、日が昇ってくるところだった。


「…………澪?」

 隣にいない私に気づいて目覚めた史人に、ベッドの上から声をかけられる。

「……ここからの景色、最後に目に焼き付けておこうと思って」

 まだ眠そうに目を細めながら、ゆっくりと窓枠に歩み寄る彼。
 そのまま腰掛けて、煙草に火をつけた。

「……まあ、新しい部屋のベランダも東向きだから、似たようなのは見えるんじゃない? 階はここより低いけど」

 史人が静かに煙を吐き出す。

 昇ってくる朝日の温度を背中で感じながら、ベランダの柵に寄りかかり、その横顔にじっと見惚れた。

「なに?」

「……ううん。なんでもない」

 彼はフッと煙を吐き出し、何かを思いついたように悪戯っぽく笑った。

「……あ。まだ全然時間あるし『この部屋での最後』、しとく?」

「…………もー」

 静かな朝焼けの空気の中で、私たちは声を潜めて、小さく笑い合った。





―― 完 ――





最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
「言葉より、身体や態度で」をテーマにした作品でしたm(_ _)m

またいつでも読みにきていただけたら、嬉しいです。