藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜

4月の佳き日。
俺とくるみの結婚式の日を迎えた。

長く伸びたサラサラの髪をアップにしてティアラを飾ったくるみは、息を呑むほど美しく、俺は改めてくるみに惚れ直す。

胸元が繊細なレースで覆われた純白のウェディングドレスは、くるみの白い肌と純真さを際立たせ、キラキラとまばゆいオーラでくるみを輝かせていた。

チャペルでの式の前に写真を撮る為、俺はくるみと腕を組んでホテルの中庭へと向かう。

満開の桜の木の下で、見つめ合って微笑んだ。

「はい、撮りまーす。いいですね、そのままそのまま」

照れたように、ふふっと笑ってから、くるみはしんみりと俺に話し出す。

「私ね、これまで漫画を読みながら『将来温人とくるみはどんな結婚式を挙げるんだろう。ウェディングドレスはどんな感じかな?』って思ってたの。でもまさか、私の方が先なんて。追い越しちゃったから、これからは二人を真似しようなんてできないね」
「そうだな。それに真似する必要なんてない。くるみの人生の主人公は、くるみなんだから」
「うん、そうだね」

笑顔のくるみに、俺も微笑む。

「くるみ、これから一緒に物語を作っていこう。俺とくるみの二人の物語を」
「はい。佐伯温人よりもかっこいい、藤木遥斗さんと」
「七瀬くるみより可愛くて愛おしい、片瀬くるみと」

するとくるみは、むーっと頬を膨らませた。

「私、今日から藤木くるみです!」
「そうか、そうだな」

改めて、くるみは俺のものだと実感し、嬉しさが込み上げる。

「くるみ、俺と結婚してくれてありがとう。必ず幸せにしてみせる」
「こちらこそ。ありがとうございます、遥斗さん」

目を潤ませて俺を見上げるくるみが、健気で可愛くて、切なくて愛おしい。

俺はくるみを抱き寄せると、そっと顔を寄せてキスをする。

桜の花びらがひらひらと美しく、くるみの周りに舞い落ちた。

幸せで胸がジンとしびれた時、カシャッとシャッター音がして、俺たちは我に返る。

「いやー、うっとりするほど美しい絵が撮れましたよ! 満開の桜に彩られた、お二人のキスシーン!」

そう言ってカメラマンが笑いかけてきた。

「あ……」

二人の世界に入っていた俺とくるみは、気まずさに苦笑いを浮かべる。

コホンと咳払いをしてから、二人して澄まし顔に戻った。

けれどその時のその写真は、後日きれいなフォトフレームに入れて、俺たちの部屋の本棚に飾られることになった。

その下に並ぶ漫画よりも、もっともっと幸せそうに輝いて見える、俺とくるみの二人の写真を……

(完)