"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1

彼は山野辺翔といって今働いている果樹園の経営者の娘といい感じなのだそうだが、俺みたいな男とは釣り合わないと思っているようだ。

そんな自分の境遇や現在の恋人の事も何でも話してくれる。

山野辺翔はかなりのイケメンで背も高く体も毎日の肉体労働でいい体つきをしているので、さよとしては美味しくいただきたい青年である。

翔は23歳なので2歳年上の想定になる。

若い男の方がこういうお涙頂戴の話には弱いので騙し易いが、この頃では20代という年齢に設定するのが無理になってきた。

外見は何とでも変装する自信もあるし性格も苦労した娘の演技は得意だが、体の関係もと言う事になると明るい照明の下では無理が出て来た。

でもその青年翔は、体の関係を求めてきたことはなかった。さよの今の生活と病気の妹の事を心配していてくれる。

バーの給料は自分の生活費と妹の病院の費用でカツカツなのだと言ってある。

だから時々そっと1万円を手渡してくれるのだ。

妹は脳の病気でその手術に200万くらいかかると言ってある。

手術が終わってもその後回復するまで、またちゃんと働けるまで入院や生活費もいるので小百合が働いて一緒に暮らすとしても全部で300万は用意してからでないと手術ができないと言ってみると、かなりショックを受けたような顔をしていた。

自分の事じゃないのに本当に気の優しい青年なのだ。ここは詐欺師の腕の見せ所300万絶対に出させて見せる。

今回は大岩さよという偽名で幸薄い地味目の化粧で性格も妹を何とかしてあげたいと、頑張り屋の気が強いけれど心優しい女を演じている。

孤児院にも毎月寄付の振り込みをしていると言っていた翔は、本当にどうしようもない初心で純粋な男なのだ。

でも自分はそんな男には1㎜も心は惹かれない。いいカモだとしか思えないのだ。

もうこれ以上妹の手術を伸ばすのが難しくなってきたので、300万借してくれないかと翔に行ってみたら、真剣に考えて1週間後に返事をくれた。

翔がさよの代わりにお金を借りて小夜に貸してくれると言う。

さよは毎月3万なら何とか返せるので何年もかかるけれど絶対に返すと約束した。

それに妹が病気が治って少しでもバイトで収入が入るようになれば、その時点で返金の額も増やすと殊勝な顔で言っておいた。

酔いつぶれている時に免許証と保険証の写真は撮ったので、翔の名前で闇金に250万借りた。

翔が明日300万持って来た時点で高跳びする。部屋も解約したし荷物は大きなトランク1個だけで、少しづつ分けて宅配で次の所には3個送る予定だ。

東京のマンションも決めてある。

今度はまた東京に舞い戻るつもりなのだ。人が多いところの方が紛れやすい。

東京であと500万稼いだらこの商売はきっちり辞めるつもりだ。

どこか田舎の繁華街でバーかスナックでもやるつもりだ。

翔からの550万を入れると貯金はもう少しで2500万になる。
 
東京であと500万稼いだら目標の3000万に到達する。

1年前に捕まった時に銀行などにためていたお金は男に返したので少し少なくなってしまったが、その時の二人と過去の男が一人被害届を出していてその男にも借りたお金と慰謝料を払わされた。。

銀行に預けていなくて見つかっていないお金は取り上げられていない。

そうして今度は大井小百合として東京の台東区に落ち着いた。