∻ ∻ ∻
3年前
大井小百合こと新庄夢野は3年前山梨の甲州市にいた。39歳の時だ。
そこの山間部ではブドウや桃が栽培されていて、それに伴ってワイナリーも多い。
甲州市の山間の村でも結構人口はいる。そこのバーで大岩さよという名前で働いていた時甲州人の純朴な青年に目を付けたのだ。
その前の年に結婚詐欺で捕まって執行猶予が5年付いてしまった。まだ4年以上も残っているので、田舎町でその期間をゆっくり過ごすつもりだったのだ。
下手を打って捕まりたくはない。
でも、その純情青年は何でもさよのいう事を信じているのだ。
同じような境遇つまり親もなく孤児院の出身で、一人妹がいるのだが体が弱く今は入院していて、さよがその妹を支えるためにバーで働いているのだと言う話を全面的に信じている。
孤児院で育ったのも一緒だと言っていた。ただ自分には兄弟もいない家族は誰もいないと言って小夜には妹がいるのだから羨ましいとまで言った。
そうしてたった一人の妹を大事にするさよを励ましてくれるのだ。
それでなのかさよの病弱な妹をすごく心配してくれる。
さよは孤児院出身でも何でもない。ただ家庭は荒んでいた。
いつも一人でご飯を食べて親はいつ出かけたかいつ帰ってきたかもわからない日が何日も続くのは常だった。
中学校は出してやるが高校はいかなくてもいいだろうと言う親で、中学校の卒業式の日に家に帰ると親は居なくなっていた。
家の中はすっからかんになっていて、洗濯機もタンスも夢野の勉強机さえもなかった。
夢野の下着や服は夢野の部屋の床に積み上げられていた。
夢野がバイトのお金で買ったちょっと高かったバックもなかった。
そして、リビングに落ちていたメモには、このマンションの家賃はあと半年は払ってやるが、その後は自分で勝手に生きていけと書かれていた。
冷蔵庫もソファーもテーブルもなくなったがらんとした部屋で床に置かれたチラシの裏に乱雑に書かれた文字だけが浮いて見えた。
そのチラシを手に持って夢野は泣きながら笑っていた。
3年前
大井小百合こと新庄夢野は3年前山梨の甲州市にいた。39歳の時だ。
そこの山間部ではブドウや桃が栽培されていて、それに伴ってワイナリーも多い。
甲州市の山間の村でも結構人口はいる。そこのバーで大岩さよという名前で働いていた時甲州人の純朴な青年に目を付けたのだ。
その前の年に結婚詐欺で捕まって執行猶予が5年付いてしまった。まだ4年以上も残っているので、田舎町でその期間をゆっくり過ごすつもりだったのだ。
下手を打って捕まりたくはない。
でも、その純情青年は何でもさよのいう事を信じているのだ。
同じような境遇つまり親もなく孤児院の出身で、一人妹がいるのだが体が弱く今は入院していて、さよがその妹を支えるためにバーで働いているのだと言う話を全面的に信じている。
孤児院で育ったのも一緒だと言っていた。ただ自分には兄弟もいない家族は誰もいないと言って小夜には妹がいるのだから羨ましいとまで言った。
そうしてたった一人の妹を大事にするさよを励ましてくれるのだ。
それでなのかさよの病弱な妹をすごく心配してくれる。
さよは孤児院出身でも何でもない。ただ家庭は荒んでいた。
いつも一人でご飯を食べて親はいつ出かけたかいつ帰ってきたかもわからない日が何日も続くのは常だった。
中学校は出してやるが高校はいかなくてもいいだろうと言う親で、中学校の卒業式の日に家に帰ると親は居なくなっていた。
家の中はすっからかんになっていて、洗濯機もタンスも夢野の勉強机さえもなかった。
夢野の下着や服は夢野の部屋の床に積み上げられていた。
夢野がバイトのお金で買ったちょっと高かったバックもなかった。
そして、リビングに落ちていたメモには、このマンションの家賃はあと半年は払ってやるが、その後は自分で勝手に生きていけと書かれていた。
冷蔵庫もソファーもテーブルもなくなったがらんとした部屋で床に置かれたチラシの裏に乱雑に書かれた文字だけが浮いて見えた。
そのチラシを手に持って夢野は泣きながら笑っていた。



