悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~

「ねえ、さっきから待ってるんだけど。サービスあるの?ないの?」

すると、痺れを切らした男二人組は、若干苛立った様子で私達の方へと歩み寄ってきた時だった。

男達の行手を遮るように、いつの間にか脇に立っていた雨宮君の弾丸のような前蹴りが看板を直撃する。 
そして、それは見事真っ二つに折れて地面に転がった。

「こんなふざけたサービスあるわけねーだろ。いいから、さっさと失せろ」

それから、ドスの効いた声で雨宮君は鋭い睨みをきかせると、その迫力に怖気付いた男達は何も言わず逃げるようにこの場を去って行った。


「あああああ!雨宮何してくれてんだよ!?せっかくの賞金を狙えるチャンスが!」

その直後、男子達の悲痛な叫びが教室中に響き渡る。

そこから非難の嵐が飛んできたけど、我が道を行く雨宮には全く響くことはなく。

それどころか怒りを露わにした瞬間、男子達は一瞬にして大人しくなり、折れた看板は補修され、店名は再びBAR風へと書き直された。



「……はあ。なんか疲れた」

ようやくほとぼりが冷めた頃、どっと押し寄せてきた疲労感に、思わず深い溜息が漏れ出る。

何やら大分賞金に振り回されているような気がして、果たしてこれが得策なのか疑問に感じながら、私は先程から微動だにしない美南に視線を向けた。

「あの……美南さん?」

何故か呼び掛けても無反応で、ある一点を見つめている先に一体何があるのか確かめようとした矢先だ。

「……ねえ、莉子。あたし、今莉子の気持ちがようやく分かった気がする」

何の前触れもなくポツリと呟いた美南の一言に、私は首を傾げる。

「誰かに守られるって……めっちゃそそるよね!」

すると、まるで恋する乙女のように目を輝かせながら雨宮君に視線を向ける姿に、私はある勘が働いた。

どうやら、美南の恋人探しはここで一段落つきそうな。

そんな気配を感じながら、私は今まさに恋に堕ちようとする美南を、その場で黙って見守ることにしたのだった。




※結局、賞金は櫂理&木崎クラスが獲得しました。