「まあ、そんなに焦らなくてもまだ文化祭は始まったばかりだし、じっくり探せばいいんじゃない?」
そんな荒れ狂う美南を宥めるように、いつの間にやら脇に立っていた圭君は、穏やかな笑みを浮かべながら美南の頭を優しく撫でる。
「それなら圭君が私と付き合ってよ。この際年下でも全然ありだから」
「うん。絶対無理」
その流れで優しい言葉を返してくれるのかと思いきや。
満面の笑みで清々しい程バッサリと切り落としてきた圭君には、相変わらず恐れ入る。
それから私達は櫂理君達と別れ、お店のビラ配りついでに美南の出会い探しの旅を再開させた。
「ねえ美南。外見も良いけど中身も大事なんじゃない?」
各フロアを回っている最中、何人かの人に声を掛けられるも、相変わらず興味を示さない美南にお節介だとは思いつつ一応助言してみる。
「そうなんだけどさ。あたしって極度の面食いだから、初見微妙だと性格見るまでに意識がいかないの」
「へー、そうなんだ」
けど、予想通りの答えが返ってきたので、私は軽い返事だけすると、これ以上余計な口を挟むのは止めた。
結局歩き回った結果、美南のお気に召す人にはなかなか巡り会えず。
そうこうしていると店番の時間が来てしまったので、私達は教室へと引き返した時だった。
「なんか、やけに人多くない?」
いつの間にやら教室の周りには沢山の人集りが出来ていて、しかも、その大半が他校の女子高生達。
尚且つ、皆同じ制服を着ているということは、もしかして……。
「雨宮君久しぶり。あたしのこと覚えてる?」
「なんか、このお店雨宮君のイメージにピッタリだね」
「ねえ、写真撮ってもいい?」
やっぱり。
人集りを掻い潜り教室に入ると、雨宮君の周りには他校生の女の子達がひしめき合っていた。
流石は雨宮君。
前の学校の子達がここまで押し寄せてくるとは。
うちは女子が圧倒的に少ないから人気具合がいまいち分からないけど、普通校にいけば相当モテるんだということが、これでよく分かった。
それにしても、あの破天荒な雨宮君にあそこまで女子が臆せず寄り付くということは、もしかしたら前の学校では雰囲気が少し違うのだろうか。
マイペースな彼だから、環境が変わっただけで態度が変わるとは到底思えないけど……。
なんだか、凄く気になってきた。
「あの……すみません。前の学校では雨宮君ってどんな感じだったんですか?」
居てもたってもいられなくなった私は、思いきって近くにいた他校生の女子にこっそり尋ねてみると、何やら物凄い剣幕で睨まれた。
「え?なに?雨宮君はもうそっちのものだから、余裕ぶってるわけ?」
「………………へ?」
「いいよね。そっちは毎日彼の顔拝められて。うちらは眼福失ってモチベーションだだ下がりなんだけど」
「あの……そういうつもりで聞いたわけでは……」
なんだろう。
なんか、触れてはいけない領域に触れてしまった気がする。
そんな危機感を抱き、話が拗れる前にこの場からさっさと身を引こうとした矢先だった。



