そう思ってたのに。
「……………なんか、思ってたのと違う」
文化祭当日。
出来上がった内装を前に、私は呆然と立ち尽くしながらポツリとそう呟く。
「そう?あたしはイメージ通りだけど」
そんな絶望する私とは裏腹に。
乗り気な様子で満足気に教室内を見渡す美南。
これで何故そんなに喜べるのか不思議に感じながら、改めて自分も教室内に目を向けた。
完成されたのは、まるで無法地帯にある不良の溜まり場のようなお店。
教室内は壁もテーブルも黒一色で統一され、照明は妖しさ満載な紫色のライト。
壁にはドクロマークや、ナイフが突き刺さったダーツや、暴走族が掲げるような旗が飾られている他。
高校であってはならない空のビール・焼酎瓶がずらりと壁一面に並べられ、落ち着いた雰囲気とはかなりかけ離れた内装に、理想がガラガラと音を立てて崩れていく。
「やだ、私もう帰る!ここに居るだけで怖いよ!」
これでは、あっという間に不良達が集まりそうで、文化祭を楽しむどころではくなった私は、教室を本気で出ようと一歩足を踏み出す。
「大丈夫だよ。莉子は櫂理君の彼女だし、雨宮君と圭君もいるし。後ろ盾最強過ぎだから堂々としてればいいじゃん」
けど、それを許さないと。
すかさず美南に腕を掴まれてしまい、逃げ道を塞がれた。
「いい、莉子。ここは戦場だよ。普段ヤンキー共しかいない場所に堅気が来るんだよ。こんなまたとないチャンスをみすみす逃すなんて、絶対にあり得ないから!」
そして、急に血相を変えて鬼気迫ってくる美南の圧に押され、私は唖然とした。
「で、でも美南さん。こんなヤンキー校にまともな人が来るとは到底思えな……」
「諦めたらそこで試合終了だよ!」
それから、冷静に突っ込もうとしたところ、某漫画のセリフで語尾強く押し切られてしまい、私はこれ以上何も言えなくなってしまう。



