悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~






「それでね、黒いジャケット姿の櫂理君がかなり萌えたっていうか。あと、お化け屋敷の時の櫂理君が凄く格好良かったの。ずっと私のこと守ってくれてて、最後に脅かし役の人を殴ろうとしたのは許し難いけど、その姿がナイトみたいでキュンとしたっていうか。それから……」

「悪い。俺帰るわ」

「待って、雨宮君!ここからが大事なの!」

あまり多くを語るつもりはなかったのに、気付けば口が止まらなくなり、またもやこの場から逃げようとする雨宮君の腕を私は必死で掴む。

それから、げんなりとした表情をする彼にはお構いなしと、私は間接キスをされたくだりまで全て話し終えてから、ようやく雨宮君の腕を離した。


「つまるところ、あんたらもう付き合えばいいだろ」

そして、暫しの沈黙後。
吐き捨てるように言われた雨宮君の一言に、私は一瞬体の動きが止まる。

「い、いや!でも、心の準備が出来ていないっていうか。そもそも、櫂理君のことが好きかもって自覚したばかりで、まだ混乱してるというか……」

「あー。宇佐美姉弟ってマジでめんどくせー」

話を聞いてくれると言うから、包み隠さず打ち明けたのに。

何だか最後はとても投げやりな態度を取られてしまい、納得がいかない私は頬を膨らませる。

「ひどい、雨宮君。私本当に困ってるのに。あれ以来櫂理君の顔見てるとドキドキが止まらなくて、まともに話せてないの」

間接キスをする前はどんなに好意を寄せられても、まだ“弟”として見れた。 

けど、今ではどうやって接すればいいのか分からないくらい、彼を意識してしまっている。

それに、果たしてこれが本当に“恋”なのかも分からない。

もしかしたら、ただ流されているだけかもしれないし、自分の気持ちをしっかり確かめるまでは、軽はずみな態度をとってはいけない気がして。
だから、頭の中を色々整理していきたいけど……。


「あーあ。なんか授業出たくないなあ」

こんな状態じゃ内容なんてまともに入ってこないし、今は何もしたくない。

かといって家に帰る勇気もないし……。


「それなら、旧校舎の屋上使えば?」

「……は?」

すると、唐突に提案された意味がよく分からず首を横に傾げる。

「あそこは誰も来ないからサボるには最適だし。丁度俺も行こうとしてたから」

「いや、私サボるなんて言ってないけど」

何やら話が勝手に進もうとするので慌てて否定するも、雨宮君は人の話を聞こうともせず、私の腕を引いて急にベッドから立ち上がった。

「あ、雨宮君待って!私まだお昼も食べてないし……」

「じゃあ、旧校舎の入り口で待ってるから取りに行ってこいよ」

結局拒否権は与えられず。
私は一旦教室に戻り、美南に事情を話すと「あとは私に任せて行ってきなよ」と快く送り出された。

何やらここの人達はサボりに関してえらく寛容的な気がする。けど、ここまで来たなら、二人の好意に甘えようと。人生初のサボりをすることに決め、急ぎ足で旧校舎へと向かった。