下の階の者ですが

「今日も疲れた……」

リビングに敷かれたカーペットに倒れ込む。
荷物も片付けてないし宿題も終わらせてないけど、今日くらいは許してほしい。
だって、ようやく補講を終わらせたんだもん!
先週終わった期末テスト。その結果がまぁなんと酷く、学校で放課後の補講があった。
ただでさえ家が遠いのに、終わった後に電車を乗り継いで帰れば時間は……まぁ、もう夜中。
こんなぼろぼろの体で階段を登らなくて本当に良かった。アパートの一階様々だ。

「ねむいし何もしたくない……」

ドンドンと足を床にぶつけても、注意してくれる親はもう寝ている。それをいいことに、自分の疲れを床にぶつけながらごろごろしていると

《ピーンポーン》

インターホンが鳴った。
何か届け物? いや、流石にこんな夜中に来るのはあり得ないでしょ。

《ピーンポーン》
《ピーンポーン》

二、三回目のチャイムが鳴り響く。
流石に出ないのも良くない気がしてきたここまで鳴らすということは、何かあるんだと思う。

「はーい、今出まーす」

服を最低限整えて家から出る。
そこには、一人の女の人が立っていた。

「どうか致しましたか?」

「下の階の者ですが」
「お宅の騒音が苦痛です」

抑揚のない冷たい声で、それだけ言われた。

「あ、は、はい」

私は当たり障りのない返事のみ。
やってしまった。そう思った。
何が親がいないからいいだ。思いっきり被害を被っている人がいるじゃないか。過去の自分をぶん殴ってやりたい。

「本当に申し訳ありません。以後気をつけます」

「お願いします」

頭を下げて気づけば女性はもういない。帰ったのかなと思い、私は扉を閉めて部屋に戻る。

「風呂入らなきゃなぁ」

どうせだしやれることをやってしまおう。
そう思って靴を脱げば、私は一つとあることに気がついた。気がついてしまった。

「あれ……?」

頭が追いつかない。
なにが、どうして、どうなって。
あれは何? なんだったの?
自分が恐ろしくて、ふらふらと地面に座り込む。

「あ、あはは……」

あまりの恐怖に苛まれた時、人はもう笑うことしかできないんだとか。

「あー……勉強、ちゃんとしよ」

もうこんな思いは散々だ。