朝早くの賑わうエントランス。
薄い空気が少しざわつくエレベーター前で、事務所のある階数を押して待つ。
珍しくエレベーター前は混んでいない。
到着したエレベーターに乗り込み、他に数人乗り込んだのを確認してから、“閉”ボタンを押した。
ゆっくりと、金属音とともに扉が動く。
エレベーターの扉が閉まる直前、外からヒールの音が滑り込んできた。
「すみません」
という短い声と同時に、細い指が扉の隙間に差し込まれる。
センサーが反応して、閉まりかけた扉がゆっくりと開いた。
そのまま、一人の女性が乗り込んでくる。
───その瞬間、
空気が、少しだけ変わった気がした。
私の隣に立ったその人は、特別派手なわけじゃないのに目を引いた。
無駄のない髪。整えられた指先。
細いゴールドのブレスレットが、手首で控えめにきらりと光る。
完成されている。
その言葉だけが、妙にしっくりきた。
乗り込んできたときも、今も、ほんのりと甘い香りが残った。
強くはないのに、記憶に残る匂い。
薄い空気が少しざわつくエレベーター前で、事務所のある階数を押して待つ。
珍しくエレベーター前は混んでいない。
到着したエレベーターに乗り込み、他に数人乗り込んだのを確認してから、“閉”ボタンを押した。
ゆっくりと、金属音とともに扉が動く。
エレベーターの扉が閉まる直前、外からヒールの音が滑り込んできた。
「すみません」
という短い声と同時に、細い指が扉の隙間に差し込まれる。
センサーが反応して、閉まりかけた扉がゆっくりと開いた。
そのまま、一人の女性が乗り込んでくる。
───その瞬間、
空気が、少しだけ変わった気がした。
私の隣に立ったその人は、特別派手なわけじゃないのに目を引いた。
無駄のない髪。整えられた指先。
細いゴールドのブレスレットが、手首で控えめにきらりと光る。
完成されている。
その言葉だけが、妙にしっくりきた。
乗り込んできたときも、今も、ほんのりと甘い香りが残った。
強くはないのに、記憶に残る匂い。



