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会議を終えて、ひと息つきたい一心で資料を抱えたまま給湯室へ向かっていた。
ここ最近、息が詰まってしょうがない。
理由は分かっている。
あの人がここに来るようになってからだ。
外部コンサルとしてうちの会社に常駐し、ずっと見張られている気分だった。
気が休まらない。
給湯室でコーヒーを飲もうと廊下を進んでいた。
夕方の薄暗い廊下の角を曲がって少し行った先にある給湯室。そこを目指す。
資料を抱えたまま、私は角を曲がった。
手前にある、非常階段の扉から外気を感じてふと見やる。
この時間は、人が少ないはずなのに。
違和感を覚えて、ふと立ち止まる。
なんとなく。
ただ、なんとなく。
その扉の向こうに、人の気配を感じた。
いつもはぴたりと閉まっているはずの非常階段のドアが、少し開いている。
「……ちょっと、待って」
という押し殺したような女性の声が、扉越しに漏れてきた。
足が、完全に止まる。



