正しくない恋のはじまり

───『見ていれば分かることもある』という、部長の声がよぎる。

……違う。これは仕事。ただの確認。


そう自分に言い聞かせる。
青砥さんが、ふとこちらを見た。

長い前髪の隙間から、私を見ている。
一瞬、弾けるみたいに視線がぶつかった。

ほんの少し逸らすのが遅れた。

その隙に、彼の口元がわずかに動くのが見えてしまった。

笑ったのかどうか分からない程度に。
顔を傾けてこちらを見ていた。


心臓が、変な音を立てた。

私は慌てて画面に視線を戻す。
……見てるの、バレてる。


頭痛を気にしている余裕などなくなってしまった。