正しくない恋のはじまり

なんとなく嫌な予感がして、思わず物陰に隠れてしまった。
観葉植物と一体化して、そっと給湯室を覗く。

あかりちゃんの横顔が見えた。

……笑ってる。超可愛い。
いや、今はそこじゃない。相手の男は誰だ。
どこかで聞いたことのある声なんだが───。


「では、なぜ僕にあのとき、“煙草が苦手”と言ってきたんですか?」

「それは…なんとなく?」

「なんとなくで言います?」

「だって、青砥さんに“やめてください”って言うの、なんか違う気がして」


ここで、俺の思考が停止した。

「青砥」という名前が出てきたことに、大混乱する。
どうしてここでやつの名前が?
中にいるのは、あかりちゃんと青砥?

なんでこんな普通に話してるんだ?
世間話?

…いや、なんか会話の様子がおかしい。

二人とも、温度が違う。
サーモグラフィーを当てたら一発で分かるはずだ。