ちょうど事務所の中に、ひとりの男が入ってきたところだった。
やつが室内に入ってきた瞬間から、事務所に緊張が走る。
みんながみんな、視認した時から顔に出る“あ、やばい”という感情。
俺もまた、そのひとりだった。
……げ、こいつが来る日なのか、今日。
黒いスーツに、黒い鞄、黒い靴、黒い髪。
うらやましいくらい、黒が似合う。スタイルはいい。
無造作なヘアセットは、わざと表情を見えなくするみたいなシルエットだった。
最初は外部コンサルって名目で来ていたはずの、この男。
本当は親会社の監査員だったらしい。
青砥佑正。
名前だけは覚えてしまった。
たぶん歳は俺とあんまり変わらない。
若いのに監査員とか、エリートっぽくてムカついてくる。
彼は歩きながらぐるりと事務所内を見回したあと、ゆっくりこちらへ近づいてくる。
…いや、いつも座ってるデスク、もう通り過ぎてんじゃん。
なんで、こっちに来る?
おい、前ちゃんと見えてるか?
───というか。
一瞬だけ、あかりちゃんの方、見なかったか?
やつが室内に入ってきた瞬間から、事務所に緊張が走る。
みんながみんな、視認した時から顔に出る“あ、やばい”という感情。
俺もまた、そのひとりだった。
……げ、こいつが来る日なのか、今日。
黒いスーツに、黒い鞄、黒い靴、黒い髪。
うらやましいくらい、黒が似合う。スタイルはいい。
無造作なヘアセットは、わざと表情を見えなくするみたいなシルエットだった。
最初は外部コンサルって名目で来ていたはずの、この男。
本当は親会社の監査員だったらしい。
青砥佑正。
名前だけは覚えてしまった。
たぶん歳は俺とあんまり変わらない。
若いのに監査員とか、エリートっぽくてムカついてくる。
彼は歩きながらぐるりと事務所内を見回したあと、ゆっくりこちらへ近づいてくる。
…いや、いつも座ってるデスク、もう通り過ぎてんじゃん。
なんで、こっちに来る?
おい、前ちゃんと見えてるか?
───というか。
一瞬だけ、あかりちゃんの方、見なかったか?



