正しくない恋のはじまり


彼女は少し前に部長が左遷された件で、なにか巻き込まれたというのは聞いたことがある。

都市開発の大きなプロジェクトが中止になったのも、それ関係なんだと思う。
俺はまったく関わっていない案件だから詳しくは分からないが、そんなことはぶっちゃけどうでもいい。


また仕事に戻ろうとしているあかりちゃんを、呼び止める。

「あのさ、あかりちゃん」

「はい」

画面に移しかけた視線を俺に戻し、首をかしげる。

耳元で小さなイヤリングが揺れていて、それもまた彼女の良さを引き立てていた。

今日こそは!誘うんだ!


「今日さ、仕事終わったあととか…なんかある?」

「え、仕事のあとですか?」

「うん。いや、もしなんもなかったら───」


言いかけて、彼女の視線が俺から外れる。
代わりに、俺の背後へと向けられていた。

それにつられて、なんとなく振り向く。